みなさんは会社で対処に困る問題が発生した時どのように対処しますか?業務をしていく中では自分の力量では対処しきれない問題、対処はできそうだけど、上司の判断や他の部署と連携した方が良い問題など他の誰かの力を頼るべき場面があると思います。皆さんの会社でも上司や他の部署にエスカレーション(上申、報告)するべき場面が決められているのではないかと思います。最もよくあるのはお客様からの問い合わせや勤務中の事故などなにかの問題が発生した場合ではないでしょうか。そのため、人によってはエスカレーションせずに隠したくなってしまう事もあると思いますが、組織としては正確にエスカレーションし、組織としての対応をする事が重要になります。
今回の記事では、こうした社内エスカレーションを間違いなく行うにはどのようなフロー、ルールにするべきかをご紹介します。また、社員が自ら気兼ねなくエスカレーションできるような行動規範や組織の雰囲気を作っていく事も重要です。着実にエスカレーションを促し、組織として問題に対処できる体制を作っていきましょう。
社内エスカレーションを正確に行っていくためには以下のようなルールを事前に決めておく事が重要です。
1.エスカレーションすべき状況の設定と周知徹底
2.エスカレーションのフローと責任者
3.エスカレーション時に共有する情報の標準化
エスカレーションは課題に対応するためである場合が基本的に多いですが、必ずしも「問題」とは限りません。適切に対応する事で会社として前進するために有益な場合もあります。特にお客様対応などではそういった場面も多くあります。
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Teamsで社内「問い合わせ」を管理する方法と注意点<画像付き>
まずはどのような場合にエスカレーションすべきなのか、状況を設定しましょう。ここではまず当事者は一般社員と想定し、上司や他の部署にエスカレーションする場合を想定します。また共有するべき課題の設定も重要です
どこまで現場で対応するべきなのか、業務上の対応範囲を設定します。一般的には社内業務フローを設定し、通常業務を現場に任せることになると思いますが、業務フローを定義する際に全ての業務を事前に想定することは難しいです。例として、顧客対応のフローをイメージしてください。小売店のレジなど想定しやすい業務もありますが、商品に関するトラブルやレジのシステムエラーなど現場で対処が難しい業務も発生する可能性がある事が想像できるかと思います。こうしたイレギュラーな業務は基本的に現場対応が難しいため、エスカレーションの対象となります。
他部署へのエスカレーションは、自身の部門とは逆にエスカレーションする内容を定義しておきます。そもそも他部署への依頼という事で自部門では対応できない業務という事です。そのためなんでもフリーフォーマットでエスカレーションしてしまうと受け側の部署の業務が煩雑になってしまい、業務量が非常に増えてしまいます。エスカレーション時に書くべき内容については後述しますが、エスカレーションするケースを事前に定義、例外のケースも徐々にどのようにエスカレーションすべきか定義して決めていく事が重要です。
課題と一言でいってもその種類は様々ですが、エスカレーションするべき場合は以下の二点が重要です。
①課題の深刻度(問題の影響範囲)
②課題の緊急度(課題の対処に必要な時間)
一般的に、①重要度が高く、②緊急性も高い場合は最優先でエスカレーションする必要があります。逆に両方とも低い場合はエスカレーションする際にもそれほど急ぐ必要はありません。①か②のいずれかが高い場合は業務内容に応じて優先順位を決めて良いわけですが、一般に課題の深刻度が大きいものをより優先します。業務課題は一つの課題が他の課題を引き起こしているケースもあり、複数の課題が同時に発生した場合、より大きな課題の派生課題であるケースがあるからです。現場ではこうした課題の因果関係を紐解くまでは難しいと思いますので、①、②がそれぞれどの程度か現場の判断を含めてエスカレーションするように定義しましょう。
どのような場合にエスカレーションするかを決めたあとは、エスカレーションするフローを定義します。エスカレーションフローはあまり細かく決めすぎずに、どの部署のどの役職者にエスカレーションし、実務は誰が対応するか程度の決め事にすることをお勧めします。エスカレーションはその性質上例外的な業務として発生しますので、あまり細かく決めすぎると帰って柔軟に対応する事が難しくなってしまいます。
また、より重要なのは課題が解決するまでに誰が責任を持って対応するかという点です。エスカレーションはそれだけ重要な課題であり、かつ解決も難しい可能性が高いため、しっかり解決するまで遂行する必要があります。また、エスカレーションしても解決されないという実績が蓄積してしまうと、「上司に頼んでも無駄」「エスカレーションする意味はない」という悪き習慣が生まれてしまい、それ以降エスカレーションするというモチベーションがなくなってしまいます。
エスカレーションを確実に実行させるためにも、責任者をしっかりと決めて、フローと合わせて合意しましょう。
エスカレーション時にどのような内容でエスカレーションするべきか迷わないように、報告のフォーマットを決めておきましょう。業務内容によって書くべき内容は異なりますが、基本的には以下のような内容を記載します。
①対象業務(業務フロー上の名称)
②発生した課題の概要
③影響範囲
④対応期限
⑤背景
⑥発生理由
⑦期待する対応策
以下は顧客問い合わせ内容のエスカレーションの具体例となります。特にしっかり記載するべきは、⑤背景と⑥発生理由となります。ここを正確に伝える事で、対応する部署や上司も状況を正確に把握し、対応もスムーズになります。可能な限り具体的、かつ網羅的に事実を記載しましょう。
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①対象業務(業務フロー上の名称)
昨年発売したドライヤーのお客様問い合わせ対応
②発生した課題の概要
ドライヤーがご購入後数日で利用不能になっており、お客様からお叱りの問い合わせあり。
返品と料金返却をご希望。
③影響範囲
カスタマーセンター、品質部門、販売部門
④対応期限
◯月◯日
⑤背景
昨年発売した型落ちのドライヤーを購入したところ、数日で電源が入らなくなった。販売店で店頭サンプルとなっており、かなり安く売られていたので購入。サンプル品のため製品保証がないことは理解していたが、数日で使えなくなるのはおかしいとお客様からお叱り。
⑥発生理由
店頭デモンストレーション品であったため、本格的な製造前に事前製造した品質が十分でないもの、かつ店頭でサンプルとして利用され続けたものを購入され多様だが、サンプル品は本来小売店に販売しないように依頼していたはずであり、小売店も説明の上で販売したようだがトラブルに繋がっている。
⑦期待する対応策
お客様には弊社のスタンスを説明ずみだが、お怒り収まらず。改めて謝罪すると共に、返品ではなく新品をお送りして弊社の顧客になっていただけるように促す。また、再発防止策を社内で徹底し、小売店に対してより厳格にルールを適応できるように販売部門で検討してほしい。
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ここからは社内エスカレーションを着実に実行するために、必要なポイントをご説明します。基本的には前述のようなルールをしっかり作れば対応できるのですが、それでもうまく回らないケースがあります。そのようなケースのご紹介と、対応方法をご説明します。
人事評価に悪影響が出るのではないかと心配してしまうケースです。見かけ上、自分で対応できなくて上司や他の部署にいらいするというふうにも見えてしまうため、当事者としては自分の評価を気にしてしまうことがあります。対応方法としては、エスカレーションは業務上認められた正式なフローであり、正しくエスカレーションする事は評価にマイナスどころかプラスであることを周知徹底しましょう。
取り扱うべき課題は、場合によっては当事者のミスで発生することもあります。そうした場合、人情として隠したくなってしまい、報告が遅れてしまうこともしばしば起こり得ることです。しかしながら、組織としては個々人がミスをする事は許容して業務を行うべきであり、個々人はBad News First(悪いニュースほど早く報告)の習慣を現場にも持ってもらう事が重要です。個々人のミスでも組織として対応するべきである事を周知徹底しましょう。
縦割りの部署で特に発生する事ですが、エスカレーション先の部署と仲が悪い、または交流がなく、エスカレーションしづらい雰囲気を作ってしまっているケースです。特に、組織設計上対立関係にあることを宿命づけられる部門の場合(営業と経理など)どうしても対立しがちですが、エスカレーションが発生するのはある意味緊急事態ですので、協力して対応できるようにしっかり業務フローを作りましょう。その際、責任者は両部門のトップ、もしくは両部門を統括する役職者を設定するのがお勧めです。
いかがでしたでしょうか?社内エスカレーションは見た目以上に影響の大きい業務である事が多いです。しっかり対策して組織的な対応体制を整えましょう。今回の記事が、が皆様の業務効率化に役立てますと幸いです。
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