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【導入後を見据えた】「組織診断・可視化ツール」の選び方

June 5, 2022

「組織診断」はアンケートなどを通じて組織の課題を抽出し、解決していく仕組み

組織診断という言葉を聞いたことがありますでしょうか?組織診断はアンケートなどを通じて組織の課題を抽出し、解決していく仕組みです。普段はなんとなく課題に思っていること、定性的に課題として挙げられていることを定量的に把握することができ、深刻度の度合いによっては優先順位をつけて課題解決に具体的なアクションを起こすことができるようになります。主に以下のような診断を行うことができます。

・経営理念や経営方針、ビジョンに対する理解度や満足度の調査
・仕事へのモチベーション
・現在の業務への満足度、離職リスクの診断
・従業員同士や上司との関係性の調査
・人事制度への満足度
・スキルレベルの成長度合い

大きく分けて組織全体に対して行う場合と、対個人で行う場合があります。組織的な課題を捉えたい場合には当然ながら組織に対して行う必要がありますが、最終的には個々人のアクションに落とすことになりますので、最終的には両方に対してアクションを行うことになります。

「経営理念やビジョンの浸透度」などを定量的に把握する

では組織診断ツールとはどのようなツールでしょうか?組織診断は基本的にはアンケートによって定量的な把握をするツールになっています。そのため、人事部や管理者が扱うアカウント管理、集計結果をみるツール群と各社員にたいしてアンケートを取るためのツール群に分かれています。比較的センシティブな内容を扱う可能性もあるため、アクセス管理の機能も充実していることが多いです。アンケートは事前にテンプレートが準備されている事が多いのですが、経営理念やビジョン、社員の行動規範など、会社のよってカスタマイズしなくてはならない部分多いため、ツール提供会社側でヒアリングを実施、場合によってはコンサルティングを行い、実施のサポートを行ってくれます。また、当然ながら社員の情報をシステムに登録する必要がありますので、単一のツールとして導入する場合よりも、その他の人事系機能を提供するツールと連携して使うことや、組織診断ツールを専門的にではなくとも提供するツールを選択することになります。大きく分けると以下のような機能が必要です。

・社員情報登録管理機能
・アンケート内容作成、管理機能
・アンケート結果の集計、ビジュアライズ機能
・アンケート結果の分析、報告機能
・社員へのフィードバック機能
・アンケート作成ヘルプ、コンサルティング

ここからは実際に組織診断ツールを選択する際のポイントを5つ紹介します。前述の制度としての導入目的や、ツールの提供機能を念頭にしてお読みいただきますとより理解がしやすいです。

組織診断ツールを選択するポイント①ツールを導入する範囲、目的の確認

まずは組織診断ツールを導入する目的を確認しましょう。一般的にツール導入の目的は以下のような調査、施策を実行するためになります。

・会社のビジョン、ミッション、バリューなど文化の定着度合い調査
・従業員のエンゲージメント(会社への貢献意欲)測定
・昇給、昇格のための事前調査
・組織パフォーマンスの測定
・採用強化のためのアピール

…etc

一口に調査と言っても目的もステークホルダもさまざまです。特に最終的に影響を与えるのが社外の人を対象に施策を行うのか、社員を対象にするのかで大きく異なります。社外の人を対象とする場合、自社のアピールとなるようにアンケートの設計を行わなくてはなりません。良いところだけアピールしましょうというのではなく、他の会社と比較できる項目を準備し、実際に高得点となるように従業員の満足度を上げるための努力をしなくてはならないためです。また、どのような部門、部署を対象に行うのかでも内容が変わってきますので、どのような目的で、どういった範囲で行うのか最初に経営陣としっかり確認しましょう。

以下は実際にお聞きした事例です。その方が、過去に成長速度の速いネット系のメガベンチャーに所属していた時のことですが、組織の急成長に合わせて採用活動も加速、事業の買収などを通じて組織の人員数が急増していました。最も極端な時は3年間で社員数が三倍になった時期もあります。新卒採用ではなく、キャリア採用がメインでしたので、単純に仕事を実施するだけであれば問題なかったのですが、ミドルマネージャーの育成もままならず、その方は24歳でマネージャーになり、非常に苦労しました。他のマネージャー陣も新任が多く、また、途中参加のメンバーは年配でマネジメント経験者がおおため徐々にお互いにすれ違いもあり、仕事への満足度が下がっていたそうです。

こうした状況は定性的にはわかっていたそうですが、定量的に把握することができず、急成長のベンチャーのよくある問題と経営陣もあまり真剣に取り扱っていなかったのですが、離職率や休職率が増えるなど数字に現れることで課題認識されるようになったようです。その後、さまざまな組織診断が実施され、定量的かつ定期的に情報収集がされたことで、経営者のみならずマネージャー、社員も数字へのコミットメントで協力し、課題解決にあたられました。

だれも辞めたくて入社する社員はいません。センシティブな情報もあえて公開することで全社一致団結して解決のアクションを取ることができたそうです。

このように、どのような目的で、どのような人をターゲットに診断し、また、いかにして解決していくか全体像を描いておきましょう。

組織診断ツールを選択するポイント②目的に合致する機能を有しているか?利用しない機能ばかりでないか?

次は目的を達成するために必要な機能を有しているか確認しましょう。組織診断のツールには、主に以下のような機能+サービスが存在します。

・アンケート内容作成、管理機能
・アンケート結果の集計、ビジュアライズ機能
・アンケート結果の分析、報告機能
・社員へのフィードバック機能

基本的には「アンケート」+「分析」+「具体的な改善策」というのがパッケージになっており、その他の社員行動の分析などはツールによってはその他の組織系の業務ツール(人事管理ツールや社内SNS、採用関連のツールなど)と連携して実施する場合もありますで、合わせて確認しましょう。また、この際に自社で現在行っているオペレーションと合わせて実現できるか確認しましょう。組織診断ツールの場合、元々そうした調査を社内で行っているケースは少ないと思いますが、今現在使っている他のツールやサービスから置き換える場合、運用にも相応の負担がかかりますので、事前に確認しましょう。場合によってはデータ移行などシステムの移行に必要な運用ができるかも含めて、情報システム部門などシステムを運用する現場メンバーと話し合いましょう。

組織診断ツールを選択するポイント③コンサルティングやサポートはどの程度期待できるか?

次はコンサルティング、サポートについてです。他の人事関連の業務ツールと異なり、組織診断ツールは心理学や統計学の知識を応用してアンケート調査や行動ログの分析などを行います。多くのツールでは、事前にアンケートを取るべき項目や分析のためのAI、アルゴリズムが事前に準備されており、必ず使う必要はありませんが、基本的には自社に合わせてカスタマイズが必要です。最初は事前に準備されたアンケートでも良いかもしれませんが、課題を正確に発見するためには、PDCAを回しながら徐々に改善していくプロセスでもありますので、分析結果を受けてどのような施策を打つべきかを考えるコンサルティングや、実行を支援してくれるサービスが重要になります。

また、前述のテーマとは異なるポイントですが、上司と本人のフィードバックの際には相手の感情に配慮し、上司側もコーチングの手法を理解してコミュニケーションをとる必要があります。相手の心理を理解して、正確なフィードバックを返すのはなかなか難しいものです。こうした点もコンサルティングやサポートを受けられるか事前に確認し、フィードバックする側もやり方を継続的に改善していきましょう。

組織診断ツールを選択するポイント④セキュリティー、アクセス管理はしっかりしているか?

次はセキュリティについてです。そもそも人事情報を扱う業務ツールでは、従業員の氏名など個人情報が非常に多いため、セキュリティやアクセス管理は重要度が高いです。組織診断ツールでは対個人似合して心理状態を確認する設問も多く、内容がかなりセンシティブなのでアクセス管理には注意が必要です。ポイントとしては、設問の回答内容を直接参照できるのは回答者本人と直属上司のみに限り、人事やその他の管理者は統計的な結果のみを参照できるように設定できるかなど、個人を特定せずに課題を把握できるかどうかを確認しましょう。


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組織診断ツールを選択するポイント⑤料金体系や機能拡張、プランは自社に適しているか?

最後に、料金体系と、機能拡張、料金プランについて確認しましょう。組織診断ツールは実施する部署や範囲にもよりますが、一般にかなりの数のアカウント数を発行することになります。

そのため、ツールによっては契約数に対してボリュームディスカウントも期待できる可能性がありますので、対象企業とよく交渉しましょう。

導入を検討するツールが、どのような方向性で機能をアップデートしているかも重要なポイントです。独自機能の拡大に注力しているか?その他のツールとの連携を重視しているか?または、自社で開発するその他のツールとあわせて、シリーズとして開発しているかなど、会社のツール機能のアップデートに対する方針やスタンスによって拡張の方向性が異なるため、運営業者の方針も合わせて確認しましょう。

今回の記事はいかがでしたでしょうか?コロナ禍によってテレワークが広がり、働き方が大きく変わったこれからの方が活躍の場面が増えそうです。本稿の内容が皆様の組織パフォーマンスを上げるツールの導入に貢献できましたら幸いです。


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