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業務効率化

「業務プロセス」の「可視化」方法<コンサルティングファームの実践事例>

November 15, 2023

生産性の低下や属人的な業務の発生など、組織が何らかの課題を感じているときは、業務プロセスの可視化を進めるのが有効です。業務プロセスの可視化自体が課題のソリューションとなる場合もありますし、可視化を通じて解決すべき課題が明確になる場合もあります。

業務改革や効率化を得意領域の一つとするコンサルティングファームでは、プロジェクトの中でしばしば業務プロセスの可視化を実行しています。

今回の記事では、コンサルティングファームが行う業務プロセスの可視化方法をまとめました。不明瞭な業務プロセスに課題を感じている方は、ぜひ参考にしてみてください。

業務プロセスの可視化に必要な要素

業務プロセスの可視化とは、企業の各工程について主に次の要素について整理して、従業員が容易に認識できる状態にするものです。

  • 業務担当者(誰が)
  • 業務の実施タイミング(いつ)
  • 業務の実施場所(どこで)
  • 業務で扱う対象や操作する機械・ツールなど(何を)
  • 業務の推進方法

組織が巨大化するほど属人的な業務が増えて、各従業員は自分に関連する部分的な業務プロセスしか把握できなくなる恐れがあります。業務プロセスを意識的に可視化することで、課題の解決や業務の効率化につながります。

業務プロセスを可視化するメリット

業務の可視化は、大きく次の3つのメリットがあり、業務の可視化の主目的でもあります。

  • 無駄な業務の削減ができる
  • 業務の属人化を回避できる
  • 組織間・担当者間の連携を強化できる

業務プロセスを可視化する前は、無駄な作業工程や過剰な承認プロセスが実行されている場合がしばしばあります。社内に業務プロセス全体を把握している者がいないため、プロセスの無駄に気づかないのです。業務プロセスの可視化によって、無駄な業務の発見や削減が可能です。

組織の硬直化や効率化の阻害要因となる業務の属人化は、従業員が業務プロセスを把握できていないために発生します。業務プロセスの可視化を通じて、お互いの仕事内容を簡単に把握できるようになります。

さらに、業務プロセス全体やお互いの業務内容の相互理解が深まれば、他の部署・従業員を配慮した業務推進が可能です。組織の連携が強まり、さらなる業務効率化や組織全体の競争力の強化につながります。

業務プロセスの可視化で得られる成果物

可視化した業務プロセスは、主に次のような形式でまとめられます。

  • プロセスマップ|組織全体の業務プロセスを横断的に整理
  • フローチャート|作業工程やチーム・部署単位のプロセスの流れを整理
  • マニュアル|各業務の作業方法を整理

可視化された業務プロセスは、従業員が必要に応じて閲覧・参照できるよう社内システムを通じて共有化する必要があります。組織の課題に応じて、適切な形式で業務プロセスをまとめてください。

コンサルティングファームの業務プロセス可視化の方法

コンサルティングファームでは、自らの各プロジェクトにおいて業務プロセスの可視化を徹底しながら、同時にクライアントに対して業務プロセスの可視化をソリューションの一つとして提供しています。

「プロセスマイニング」という手法で業務プロセスを可視化

近年、コンサルティングファームではプロセスマイニングという手法で業務プロセスを可視化するソリューションを提供しています。総合コンサルファームが得意とするソリューションの一つに「業務効率化」がありますが、業務効率化の前にしばしば導入されるのがプロセスマイニングによる業務プロセスの可視化です。

プロセスマイニングでは、コンサルプロジェクトのスコープである業務対象について、以下の内容を可視化します。

  • 業務プロセスの実行順序
  • プロセスや各タスクごとのリードタイム
  • 業務担当者、担当者が変わる境界線
  • プロセス間の待機時間
  • 手戻りの発生頻度や負荷
  • 例外事象の多さ・対応方法

典型的な業務効率化プロジェクトでは、以上の情報を組み合わせて無駄を洗い出し、業務の整理・削減を実行します。例えば、業務の担当範囲が原因で待機時間の発生する場合には、担当範囲を部署・従業員ごとに見直して、効率化を図ります。

一方で、可視化された業務プロセスの情報をマニュアル化・標準化して従業員に共有するのも有効です。組織の相互理解を深め、業務の属人化の回避にもつながります。

業務ログの自動取得を導入するコンサルティングファームも

プロセスマイニングをはじめとした業務プロセスの可視化は専用のツールで実行することも可能で、コンサルファームでも積極的に導入しています。プロセスマイニングを人の手で進めると、それ自体に多大なコストや負担がかかります。

例えばコンサルファームが実行する場合、コンサルタントだけでなくクライアントの担当者もヒアリング対応や業務のリードタイム計測などの負担が発生するのです。

業務プロセスの可視化ツールを導入すると、PCの作業ログなどをもとに対象となる全従業員のシステム上の作業プロセスが自動記録されます。従業員のヒアリングを大きく削減可能です。自動的にログが記録されるため、リードタイムや待機時間などについて精度の高いデータを取得できます。


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業務プロセスの可視化を効果的に行う4つのポイント

業務プロセスの可視化を実現し事業経営に役立てるために、次の4つのポイントを押さえておきましょう。

  • 業務プロセスを可視化する目的を明確にする
  • 可視化する範囲を定義する
  • 従業員なら誰でもわかるフォーマットで可視化する
  • コンサルファームなど専門家の活用も検討する

業務プロセスの可視化を本格的に行うと、相応のリソースを必要とします。取り組むからには、確実に経営改善に役立てていきましょう。

業務プロセスを可視化する目的を明確にする

業務プロセスの可視化を通じて何を実現したいのか、目的を明確にしましょう。

  • 属人化を排除したい
  • 無駄を削減したい
  • 生産のリードタイムを早めたい
  • 従業員が働きやすい環境を整備したい

業務プロセスの可視化は何らかの課題を解決するための「手段」であり、可視化自体が目的となるべきではありません。目的を明確にしておけば、可視化を通じて整理されたマニュアルや資料を有効活用できます。

可視化する範囲を定義する

全社で行うのか、特定の事業部門単位なのか、業務プロセスの可視化の範囲は明確にしておきましょう。大企業ともなると、業務プロセスの可視化には多大なコストや作業負担が発生します。闇雲に可視化範囲を広げると、可視化のためのプロジェクトが従業員の重い負担になるという悪循環を引き起こしかねません。

企業が感じている課題や可視化目的を踏まえて、必要十分な範囲を設定して作業を進めてください。

従業員なら誰でもわかる形式で可視化する

可視化された情報は「従業員なら誰でもわかる」状態で資料やマニュアルにまとめましょう。企業の業務プロセスについて従業員に隠すメリットは基本的にないので、せっかく可視化された情報は従業員に共有するのが有効です。

その際、一部の従業員しかわからない内容になっていては、可視化の意味がありません。若手も含めて従業員であればすぐに理解できる平易な内容で、可視化した情報を資料にまとめて、共有してください。

コンサルティングファームなど専門家の活用も検討する

業務プロセスの可視化をスムーズに進めたいなら、コンサルティングファームなどの専門家に依頼するのも一つの方法です。どのように工夫したとしても、業務プロセスの可視化を自社で進めようとすると、一定の工数を要します。業務プロセスの可視化に工数を割いた結果、本業が弱体化しては本末転倒です。

コンサルファームに依頼すれば、目的に沿ってうまく可視化を進め企業が求めるフォーマットで可視化した情報を整理してくれます。企業が希望すれば、その先の業務効率化や生産性向上などの課題に取り組んでもらうことも可能です。費用対効果や社内リソースの余裕度を踏まえて、適切な方法で可視化を進めましょう。


業務プロセスの可視化は、非効率の解消や業務の属人化など様々な課題の解決に役立ちます。昨今ではDXを推進する前段階で、業務プロセスを可視化してDXのあり方を検討するケースもあります。

「業務プロセスを把握している従業員がいない」という企業は、ぜひ業務プロセスの可視化を進めましょう。

ただし、プロセスの可視化では、業務内容のヒアリングやリードタイムの集計、資料作成など一定の負荷がかかります。作業が無駄にならないよう、業務プロセスの可視化の目的を明確にしたうえで実行しましょう。自社での推進が困難な場合には、コンサルティングファームをはじめとした専門家に相談するのも一案です。


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